速水御舟 作品
温泉
那須塩原の温泉風景は、1919年(大正8)3月16日、祖母の葬儀のため帰省中の実家浅草駒形で市電に轢かれ片足を失う事故にあった御舟が、塩原の楓川桜へ家族と共に養生に訪れた時のものである。
1916年(大正5)に今村紫紅が亡くなり、1918年、京都修学院村の林丘寺雲母庵で新たなスタートを切った翌年のできごとだった。
温泉の湯気が立ち込める室内、屋根部に「片ぼかし」が使われ、岸辺や背景は後の細密描写に繋がる線描で細かに描かれている。
【制作年】
1918~19(大正7~8)年頃
【材質】
紙本彩色・軸
【寸法(cm)】
49.8×38.8cm